梅雨明け直前の蒸し暑い夏だから

すぐに明けると思っていたのに、なかなか明けない梅雨。
九州や西の地域では連日の大雨が続き。さまざまな被害を及ぼしていて心が痛みます。
どうか早く落ち着いて、これ以上被害が広がらないことを祈るばかりです。

さて、ジトジトが鬱陶しい日々が続きますが、梅雨が明ければ本格的に夏の始まりです。
日本の夏は、気温も上昇しますが、湿度も他の国よりも高くて、
昼夜を問わずムシムシが続くのが特徴。
汗をかいてもからりと乾かないので、暑さと湿気がくっついて、
身体の中にへばりつくので、いつまでも暑さが抜けないし、
冷房の効いた部屋に入って身体を冷やしたり、
冷たいものを食べてお腹を冷やすと、湿気は熱の代わりに、今度は冷えと合わさって、
急に身体が冷えて寒気がしたり、下痢をしたりします。

東洋医学から考える夏

夏は高温で「陽」が高まるので、心身ともに興奮しやすく活発に活動します。
この活動に応じて、身体はエネルギーを大量に消費してさらに熱を生じるので、
身体の中の水=潤い(陰)を使って余分な熱を放散して、
身体を鎮静させてバランスをとっています。

しかし、この時、潤いが不足していると、熱は身体に溜まってしまいます。
熱が溜まれば身体の興奮状態も亢進しますから、ハイテンションになりやすいですが、
頭や心を司る「心」という機能が疲れてしまうと、
頭痛やめまい、動悸や息切れなどを起こしやすくなります。

身体のこもった熱を取ろうと、冷たいものやエアコンなどで身体を冷やすと
今度は胃腸が冷えて消化・吸収力も弱まり、エネルギーが巡らなくなるので
身体全体の機能が低下し、だるくなったり、
疲れからなかなか回復できなくなったりします。

夏の養生で大切なのは

夏の養生で大切なことは梅雨時期同様、まず、湿を身体から追い出しお腹を養うことです。
お腹=脾胃を滋養するのは、「甘味」の性質を持つ食材です。
「甘味」というのは、砂糖の強い甘味のことではありません。
砂糖(特に白砂糖)は、エネルギーの塊で、いわゆるガソリンのようなものです。
消化するときに一気に燃えるので、活動の即戦力になりますが、
そのエネルギーを爆発させるために、他の場所に巡るはずの気血を集めてしまうので
身体全体は冷えてしまうというもろ刃の剣ですから、摂り方に注意が必要です。
ここで言う「甘味」は、食材が持つ甘味を指します。
穏やかで優しい甘味は、お腹を優しく滋養してくれるのです。

この時期におすすめな甘味の食材は、

キャベツ、じゃがいも、もやし、いんげん、にんじん、米、ハチミツ

また、夏に活発に動く「心」に良い味は「苦味」で、
暑さで「心」のオーバーヒートするのを和らげ、余分な熱を冷ます効果があります。
この時期にオススメな苦味の食材は、

ピーマン、ニガウリ、らっきょう、ミョウガ、緑茶

更に、湿を除く性質のものを加えると、効果が上がります。
この時期オススメの除湿する食材は、

はとむぎ、黒豆、小豆、緑豆、空豆、冬瓜、金針菜、とうもろこしのひげ

土用の丑の日には、滋養のためにうなぎを食べるというのは、
江戸時代のうなぎやさんのキャッチコピーです。
栄養状態がよくなかった江戸時代ならともかく、
一年中飽食の現代でわざわざこってりなスタミナ食は
却って胃腸に負担をかけてしまいます。
現代の土用の丑の日は、ぜひスタミナ食よりも消化の良い胃腸に優しいものを。

また、暑くて汗を掻くので、熱中症予防に塩を加えたものを飲んだりしますが、
塩味を多く摂ると、「心」を傷めてしまうので、
あまり味の濃いものを食べたりしないでくださいね。

夏の養生食

暑さに疲れてくると、内臓も疲れて食欲が減退してきます。
そこで、夏のおすすめメニューをご紹介します。
今の時期の旬の食材を使って、美味しく、健やかに夏を過ごしましょう。

コンナムル(もやし)スープ

今の時期オススメの食材の1番は、やはりもやしでしょう。
胃腸を滋養ししながら身体の余分な熱や水分を取り除き、
身体の水分代謝を整える。
最近とても韓国料理にはまっていて、よく作る韓国風もやしのスープをご紹介しますね。
韓国料理は辛いと思われがちですが、実はとても優しい味の料理もたくさんあります。
このスープは、韓国では定番の朝ごはん料理です。

<材料>
もやし  1袋
長ネギ  1本
にんにく 2かけ
だし   1000cc
  (昆布、煮干しか、カツオだしでも。複数の方が美味しい)
醤油   大さじ2
           小さじ1(あればアミの塩辛)

<作り方>
① 水に昆布や煮干し、かつお節などを入れてだしを作る。
       このときにあればネギの根っこもいれて。ネギの根は腎や肝を養います。
② だし汁にもやしを入れて煮ます。
③ 煮立ってきたら、すりにんにく、醤油、塩を入れます。
       このとき、塩の代わりにアミの塩辛を入れるとさらに味が深くなります。
④ 火を止める直前に小口切りにした長ネギを入れて出来上がりです。

最後にごはんを入れてクッパにしても美味しいですよ。


にんじんとピーマンのじゃこ炒め

夏バテには「苦味」を
夏の暑さに「心」の機能が疲れると夏バテに。
「苦味」の代表、ピーマンは、この疲れた「心」を助けてくれます。
「脾胃」を助け、足りなくなった気血を補うじゃこと合わせると、
夏バテ解消のサイドメニューになります。

<材料>
ピーマン  1袋
にんじん     1本
じゃこ            ひとつかみ
醤油       小さじ2
みりん           小さじ2
かつお節        ひとつかみ


<作り方>
①ピーマンとにんじんは細切りにする。
②フライパンにごま油を入れて熱し、ピーマンとにんじんを入れて炒める。
③②に酒を入れて更に炒めた後、じゃこを入れて炒める。
④しょうゆ、みりん、かつお節、ごまを加えさっと炒めたらできあがり。

お好みで鷹の爪でピリ辛にしても美味しいです。ご飯のお供にどうぞ。


トマトのキムチ

暑くてイライラしたり、なんとなく食欲がないときは、「酸味」を加えて。
最近作った「トマトのキムチ」がとてもさっぱりしていて美味しかったので
おまけでご紹介しますね。
夏は汗を出して、身体のデトックスをするのですが、
汗が出きれず暑さがこもるようなときには、
解毒作用、解熱作用があるトマトが最適です。

<材料> 1~2人分
トマト    1個(150gくらい)
玉ねぎ    1/8個(30gくらい)
大根     50g
ニラ     2本(10gくらい)
粉唐辛子     小さじ1/2(辛いのが好きな人は小さじ12
アミの塩辛  小さじ1/2(あれば)
酢      小さじ1/2
塩      小さじ1/2
砂糖     小さじ1/2
すりごま   小さじ1/2
すりにんにく 小さじ1/2

<作り方>
大根、玉ねぎは薄細切り(あればスライサーで)、ニラは4~5cm幅に切ります。
粉唐辛子、アミの塩辛、酢、塩、砂糖、すりにんにく、すりごまを混ぜ合わせます。
②に①で切った大根、玉ねぎ、ニラを入れて、よく和えます。
トマトをくし形に切り、③と和えてできあがり。

トマトは置いておくと水分が出るので、できれば食べる直前に和えてください。 

最近の夏は、暑さ、湿気に加え、冷えにも気をつけなくてはいけなくて
養生が難しくなっていますが、食事、睡眠、休養、運動に少し気をつけて
気候の変化に負けない身体を作っていきましょう。


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