夏から秋への養生
長かった梅雨がようやく明けたと思ったら、いきなり厳しい暑さがやって来ました。
連日の猛暑日と熱帯夜に加え、今年はコロナ感染予防のためのマスクも余儀なくされて、
暑さもさらに倍増です。
熱中症になる人も急増していますから、今まで以上に暑さ対策が必要です。
でももうお盆休み。
今年も立秋を過ぎて、暦の上では秋になりました。
まだまだ厳しい暑さが続いていますが、立秋から「涼風至」(涼しい風が吹き始める時期)となります。
日の入りが少しずつ早くなるとともに、
湿気を帯びた風からカラッとした風が吹き始め、暑さの中にも秋の匂いを感じるでしょう。
今年の「残暑」が、どれくらい夏の暑さを連れてくるのかわかりませんが、
暦と共に、私達の身体も夏から秋へシフトチェンジが始まっています。
☆夏から秋へシフトチェンジ
気温が上がる春、夏は、他の動物と同じように私達の身体も「活動期」です。
エネルギーが内から外へ発散されて、心も身体も積極的に動きます。
逆に気温が下がる秋、冬は、寒さから身を守り、体温を保持するために
活動を最小限にとどめ、身体の内にエネルギーを貯めます。
夏から秋へのシフトチェンジは、車で言えばアクセル全開で直進していたのを、
急にブレーキをかけてカーブするようなものです。
安全にカーブを曲がるためには、外の状態(環境)を見極めつつ、
車(身体)のコンディションをしっかり整えておかなければなりません。
残暑の厳しさに負けず、健やかに秋へ移行できるように
正しく養生していきましょう。
☆夏の養生で大切なのは睡眠
太陽の運行とともに自然界は、温かい陽(+)のエネルギーと
冷たい陰(ー)のエネルギーがバランスを取っています。
日の出とともに陽のエネエルギーが増して生命の活動を促し、
日没とともに陰のエネルギーが増して身体のほてりを鎮め、休息をうながしています。
電気の発展とともに、人の活動時間は長くなっていますが、
本来夜は身体を休めるための時間です。
ことに夏は昼間の陽のエネルギーが多く、身体の燃焼も大きくなりますから、
一年で一番身体を消耗します。
身体のメンテナンスのためにも、陰のエネルギーが満ちる夜は夜更かしをせず、
しっかりと睡眠をとることが夏バテしない秘訣です。
メンテナンスができず消耗したままでいると、自律神経が乱れるため、
結果的に免疫力も低下させてしまいます。
コロナウイルスから身を守るためには、免疫力を高めることは必須ですから、
睡眠時間を取ることを何よりも優先しましょう。
まだまだ熱帯夜の日も多いでしょうから、適度にエアコンを調節して、
冷えすぎないように、袖のあるもの着たり、薄がけをかけて寝ましょう。
冷え性の人は、レッグウォーマーなどで直接足に冷風がかからないようにしましょう。
暑くて寝苦しいときは、ぬるめのお風呂に入り、寝る前に白湯を一杯飲むと、
興奮した身体が落ち着き、寝つきが良くなります。
また、保冷剤などで、頭の「百会」というツボを冷やしてあげると、
ほてりが静まり眠りやすくなります。
☆お腹を守る
この時期は、暑さだけでなく、突然の雷雨や台風もやって来ます。
気候の激しい変化は、なにもしなくても身体ににとても負担がかかっています。
疲れを感じたら休むだけでなく、お腹の立て直しがとても重要です。
お腹=脾胃は、エネルギーを作り、それを全身に巡らせています。
連日クーラー漬けで、さらに冷たいものを食べたり飲んでお腹を冷やしてしまうと、
一気に働きが低下して、体が重く感じたり、疲れやすいなど、夏バテ症状に。
夏は、身体のエネルギーが外に向かっているので、多少冷えが入っても、
エネルギーの発散とともに、すぐに身体の外に排出されますが、
秋に移行すると、今度はエネルギーが内へ向かうので、
冷えも排出できずに残ってしまいます。
脾胃は冷えがとても苦手ですから、排出できるいまのうちに追い出すことが大切です。
立秋を過ぎたので、暑くてももう冷たいものを食べるのは控えましょう。
どうしても暑いときは、暑い場所で、少しだけ。
また、消耗しているときに、スタミナつけようとして、こってりしたものを食べるのは、
胃腸に負担をかけてしまうのでお勧めできません。
消化の良いものを食べて、お腹に負担をかけないようにしましょう。
☆弱ったお腹を立て直すのに効果的な食材
●ゴーヤ、セロリ、ピーマン、らっきょなど、苦味のある野菜
腸を冷やさず、頭に清涼感を与えてくれます。
●ニンニク、生姜、ネギ
身体の代謝を高めてくれます。
●納豆、おくら、山芋など
ネバネバ食品は、胃腸の機能を高めてくれます。
●かぼちゃ、トウモロコシなど
黄色い食品は胃腸に優しく消化を助けてくれます。
●豚肉
ビタミンB群をたくさん含むため、夏の発汗んで失った陰気を滋養し、
消耗した体力を回復してくれます。
また、平(涼)性質は、胃腸に負担をかけず、余分な熱をこもらせないので、
夏バテを立て直すのに最適なお肉と言えますが、脂肪も多いので食べ過ぎに注意。
暑いとソーメンなど麺類の方が食べやすくなりますが、
それだけで済まさないように、具材を加えたり、もう一品おかずをつけて
バランスのとれた食事を心がけましょう。
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