春のイライラ



昨日、〇〇さんとけんかしたの。だって、あんまりな言い方なんだもの!
だからイライラして仕方がないのよ。」

先日、母が電話でこんなことを言って来ました。

〇〇さんというのは、私の弟の嫁。
つまり嫁姑の喧嘩ということなんですが(笑)
普段は一物持っても、外には出さない2人なのに、
お互い「ひと言」を抑えられなかったのはどうしてなんでしょうね。

まあ、腹のムシの居所が悪かったと言えばそれまでですが、
実はここのところ、こういう話をよく耳にします。

「わけもなくイライラする。」
最近、そんな風に感じたことありませんか?
実は春はウキウキもするけれど、イライラも多い季節なのです。

春は芽吹きの季節。
花が咲き、土から様々な植物の芽を出し、
冬眠した動物たちは目を覚まし、生命のエネルギーが地球全体に湧き上がります。
それと同じように、わたしたち人間も、
身体を縮こませてエネルギーを貯めていた休息期の身体が、
エネルギーを発散させる活動期にスイッチが入ります。

でも、寝起きに急に動けないのと同じように、
エネルギーの発散の勢いにまだ身体がついていかない。
今まで抑えていたエネルギーが一気に解放されるのですから、
勢いが激しくて、それをうまくコントロールできないのですね。
すると、勢いのあるエネルギー=感情は暴れだす。・・・イメージ浮かぶでしょ?

春は「肝」という機能に深く関与します。
「肝」というのは、まあ、西洋医学でいうところの肝臓のあたりのことを言うのですが、
東洋医学では「臓器としての肝臓」よりもっと広域に考えています。

その働きは、血の生成から分配まで血の統括すること。
うまく身体全体に満遍なく血がいきわたる様にするのがお仕事なんですが、
そしてその働きは、「血が沸き上がる」とか、「血の気が引く」って表されるように、
感情に敏感に影響されます。

イライラすれば「お酒でも飲んで憂さを晴らしたい」と思うかもしれませんが、
実はこれは逆効果。
お酒は少し飲むくらいなら、血流を良くして一時的には「肝」を助けますが、
お酒の解毒って、「肝」にとってはかなりの負担なのです。

「肝」に負担をかければ、当然血の統括にも支障が出ますから、
余計に感情の暴走を助長することに。
それどころか、血圧が高くなったり、頭痛が起こったり、
「肝」が支配している筋(筋肉やスジ)に過剰な緊張を起こしたりして、
首や肩こり、こむら返りやぎっくり腰などにもつながってきます。

ではどうしたらいいのかと言うと、
まずは気持ちを落ち着かせるために、深呼吸をしましょう(笑)

一概に深呼吸といっても、胸にいっぱい空気を入れるのではなく、
イメージですが、息を鼻から背骨を通して背中から腰に貯めるように吸います。
そして、そこに一瞬留めた後、口から力を緩めるように吐き出します。

腰には「腎」という場所があり、「腎」は「肝」を慰め助ける母のような存在なのです。
一度「腎」に貯めた息は、腎の力を持った気となり、
弱った「肝」を養い、昂ぶった血を鎮めてくれます。

ですから、この腰に貯める深呼吸を3〜4回すると気持ちも落ち着くはずです。
是非、試して見てくださいね。

そしてセロリや、いちご、春菊、菜の花などは、
春の陽気に翻弄された「肝」の興奮を冷ましてくれます。
勉強や仕事で煮詰まった時も効果がありますよ。

例えば、セロリに塩昆布を和えた浅漬けなどはいかがでしょうか?
塩昆布は、気血の詰まりの原因の1つである痰(身体の中の余分な水)を
柔らかくして取り除き、身体を巡らせる効果のありますから、
セロリと合わせると、この時期のイライラした気持ちを落ち着かせる効果が増します。

ただしどちらの食材も身体を冷やす性質ですから、冷え性の人は食べ過ぎないように。
浅漬けを常備菜として作っておいて、
箸休めにちょこちょこ食べるくらいがいいかもしれません。

暖かかったり寒かったり、強い風が吹いたり、雨が降ったり。春の陽気は不安定。
こんな時はイライラするのも当然だと思っていれば、気持ちも少しは楽です。
うまくやり過ごして、楽しい春を過ごしましようね。

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