梅雨と湿のお話

雨が降ったり止んだりはっきりしない天気。
気持ちのいい初夏の晴れ間もそこそこに、なんとなく湿った空気が漂い始めて
ついに梅雨入り。今年は梅雨に入ってもお日様が出る時間が多いのはありがたいけれど、
晴れても何となく雨の匂いがします。

この季節になると、部屋の中も外もジメジメしてすっきりしないですよね。
朝起きる時、身体が重い。だるい。疲れが残っている気がするし、なんだかむくんでいる。
そんな風に感じる人は、湿に翻弄されているみたい。
長引く咳やいがらっぽい喉に悩まされているあなたも、湿に取り込まれてますね。
舌をベーっとしてみてください。
なんだかぼってり大きくて、白っぽい苔がいっぱいではありませんか?何か食べている時、
口の中を噛みやすかったりしませんか?
それもみんな湿のいたずらです。

さて、湿という言葉がいっぱい出てきましたが、「湿」って一体なんでしょう?
一般的にいえば、「湿気」ですね。
でも、東洋医学的には、「湿」とは、身体の中で余っている水のことです。 
外気中の余分な水分が「湿気」ですから、これも「湿」。
ただし外から来るものなので「湿邪」と言います。

まずは「湿」というものをイメージしてみましょう。
身体の中の余った水ですから、流れる感じではなく、なんとなく形を持たないアメーバ・・・
ゆるいゼリー状のものって感じ?
ああ、ちょっと綺麗ではないけど、水っぽい鼻水がそのものです。
少しもったりしているので、流れにくく溜まった場所から動きにくい。
そして水より重いので、溜まった場所はむくみとなって重だるくなります。

「湿」は水ですから、性質は冷です。
ただし、一度熱を持つとその熱を包み込んでずっと保持したりします。
あんかけラーメンは冷めにくいのと一緒です。

また、風邪(ふうじゃ)(外から入って来る風です。)が入り込むと、
風邪は身体中のいろいろなところをうごきまわり、痛みを引き起こしたりするのですが、
体内にこびりついている「湿」がその動きを阻害するので、
行き場を失った風邪がその場で暴れるので、しつこい痛みや痺れ、引き攣れを起こします。

そんなわけで、「湿」を体内に溜め込むと、いいことはないのです。
それなら、どうしたらこの迷惑な「湿」を追い出すことができるでしょう?

水が溜まるなら水分を控えたら?と言うのは間違いです。
身体に取り込まれる水が少なくなると、身体は逆に体内の水を逃さないように貯めようとするので、
水の代謝が悪くなり「湿」を自分から溜め込んでしまいます。
代謝を促し、常に流れるようにするには適度な水が必要です。
しかし、その時に「水」ではなくお茶やコーヒーなどを飲むと、水分吸収より利尿作用が進み、
飲んでいるのに水が不足するという事態が起こりやすくなります。
また、ジュースなどは糖分が高いので、胃腸に湿を溜め込んでしまいます。
湿は実はとても甘いものが大好きなのです。
ですから、「飲み物」は嗜好品として、水分補給には「水」を飲むことが大切です。

また、「湿」が好んで溜まる場所は、脾(ひ)と言うところ。西洋医学で言う胃腸ですね。
脾は、食べ物を消化して「気」というエネルギーを作り、身体中に分配する作用があります。
ですから、この脾が悪くなると、全身がエネルギー不足を引き起こして
動きが悪くなってしまうので、まず脾を健やかに動かせるようにする事が大切です。

まず、お腹を冷やさない。←冷飲物、生ものは控える。
甘いものを取りすぎない。
食事は、主食は夕食を少なめに。
肉や魚、卵など、エネルギーをドカンと補給するものは少なめに。

海藻やきのこ類は、お腹の調整をし、大根やセロリは気の流れをよくするので、
肉魚類と一緒に食べるといいでしょう。
また、緑豆は体内に溜まった湿を取り除く効果があります。
緑豆もやし、緑豆春雨を使った料理は梅雨のこの時期とても有効な食べ物です。
大根と一緒にスープにして飲むと、効率良い除湿対策になりますね。

料理が苦手な方は、バナナはいかがでしょうか。
バナナは身体にこびりついたベタベタの湿を取ってくれます。
お腹を調整するヨーグルトと一緒に食べるといいですね。
ただし、性質は冷なので夜は厳禁。冷え性の人は注意してください。

また、身体の末端はもともと流れが悪いので、湿もたまりやすいところです。
足首やふくらはぎを冷やさないようにして、こまめにマッサージをして
流れを整えてあげましょう。
ふくらはぎの筋肉はポンプの役割をするので、末端の流れが良くなります。
だから適度なウォーキングはおススメです。ただし摺り足は厳禁。
足の指でしっかり地面を蹴って、ふくらはぎの筋肉をしっかり使いましょう。
そしてさっぱり汗をかいたら、すぐに拭くこと。

いらないものはこまめに追い出して、気持ちよく梅雨をやり過ごしましょう。

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