春の足音が聞こえてきました。
暖かくなりました。
まだまだ上着は手放せないけれど、朝、布団から出た時の空気がずいぶん優しくて、
布団を被ったまま出られないなんてことがなくなりましたものね。
確実に春が近づいているのを感じます。
暦の上では「立春」を過ぎ、「雨水(うすい)」と言う時期から、もうすぐ「啓蟄(けいちつ)」という時期に入ろうとしています。
「雨水」というのは、冬の寒さが緩んで雪や氷が溶けて水になり、雪が雨に変わるという時期。「啓蟄」は、春の陽気に気がついた虫やカエルたちが土の中から顔を出す時期という意味です。
ここのところ、昼間は本当に暖かくて、寒さで縮こまっていた身体から力が抜けた感じです。
外を歩いていると梅が満開で、白やピンクの花を見ると心も華やぎます。
春の訪れに気持ちはうきうきしてくるけれど、意外と具合の悪くなる人が多いんですよね。
花粉症で目や鼻がグズグズしたり、北風から南風に変わるこの気圧の変動や寒暖の差で、
くしゃみや咳などの呼吸器系の不具合や、頭痛やめまいを起こしたり、
身体のだるさや眠さを訴える人もいるでしょう。
身体は今、休息期から活動期に入るために、身体のサイクルをがらりと変えようとしています。
冬の寒さから身を守るために固めていた筋肉を緩ませて、内側に貯めていたエネルギーを身体中に流れるように促し、肌理(きめ)や毛穴を緩ませて、身体の中の換気を促します。
東洋医学では、肌理や毛穴は、肌呼吸とともに、気(エネルギー)も出入りすると言われています。冬に溜まった老廃物を出して、春の新しいエネルギーを取り込みますが、まだまだ冷たい風が吹いたり、気温が下がったりしますから、気をつけないと風邪や冷えも一緒に取り込んでしまいます。
春の風はいたずらっ子。侵入させてしまうと身体中を動き回り、あちらこちらに痛みを引き起こします。ぎっくり腰や筋違えやこむら返りを起こしたり、頭痛や顔面神経痛などにもなることがありますから、首元(項だけでなく手足の首も)の露出は控えて、風や冷気に当たらないように気をつけましょう。
そして、春に大忙しになるのは「肝」という機能です。
「肝」はまず、冬の間に溜まったいらないものや毒を解毒して身体の中を大掃除します。
そして肌理や毛穴から取り込んだ春のエネルギーを血に乗せて身体中を養い、休息期だった身体を活動期の身体に変換させる役割があります。
「肝」の性質は、木の芽や枝の芽がまっすぐ上に伸びていくような勢いがありますから、
押し込められることをとても嫌います。
ストレスなどで鬱屈すると、逆上せや頭痛など、身体の上部になんらかの症状が出たりします。
そんな時はぐっと伸びをして深呼吸をしたり、お腹を温めたりして、気の流れを助けてあげましょう。
また、眉尻と目尻の中間のこめかみ側の窪み「太陽」と言うツボを押すのもおすすめ。
ストレスや緊張による頭痛や、頭にこもった熱を鎮めて、脳の疲れを和らげてくれます。
ここは、視力減退などの目の症状、顔面神経痛、に効果がありますから、PCで疲れた人もぜひ。
それから「肝」の気を養い、流れを助けるのにオススメなのは、今が旬の柑橘類やいちごです。
爽やかな酸味が肝に籠もった余分な熱を収めて、ストレスを解消してくれ、鎮痛効果もあります。また、粘膜を潤わす作用もありますから、乾燥で喉や鼻の症状が出ている人にもオススメです。
ただ、性質が「寒性」なので、胃腸の弱い人や、冷え性の人は、胃腸を冷やしてしまい、
ムカつきを起こしたり、むくみをひどくさせてしまうことがあるので、控えめがいいでしょう。
いちごはヘタを取り、柑橘類は皮をむいて、オーブンでそのまま3分くらい焼いた「焼きいちご」や「焼きオレンジ」にしたり、温かい紅茶に入れてフルーツティにして飲むと、「寒性」を和らげるのでオススメです。温かいフルーツって?と思いますけど、甘さが増してとてもおいいしいです
また山菜などに含まれる苦味は、肝の「解毒作用」を助けます。
山菜に馴染みがなければ、菜の花などはいかがですか?
菜の花を湯がいて、ごまドレッシングや、からし醤油で和えたりすると、美味しいですよ。
さっと炒めてパスタと絡めても春の味が楽しめそうですね。
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