暑熱順化(しょねつじゅんか)と寒暖疲労
まだ5月だというのにこの暑さ。
毎日今年の猛暑日を更新していますが、みなさんお加減はいかがでしょうか?
この時期は運動会の学校も多いですから、参加されるお子さんも、応援する親御さんたちも大変ですね。そのような対象でなくても、この暑さは大変。
しっかりとした暑さ対策が必要です。
人間には、暑くなると、体内に篭った熱を発散して体温を安定にさせ、
徐々に暑さに順応する「暑熱順化(しょねつじゅんか)」という能力があります。
要するに徐々に暑さに慣れて順応する力ですね。人間に限らず恒温動物の哺乳類には
体温を安定させるための能力ですが、身体が完全に慣れるまでは約2週間かかります。
この時期は春から夏への切り替え時期で、身体もまさに暑熱順化をしている最中ですが、
今年のように急激に暑くなるとその変化に追いつけません。
汗が上手くかけずに熱がこもってしまったり、逆に汗が出すぎてしまったり。
汗をたくさんかけばそれだけ体内の水分が消耗するし、
体表の熱も必要以上に奪われ体を冷やしてしまったりいいことがありません。
「寒暖差疲労」という言葉があるそうですが、最近の気候は寒暖差が激しく、
それに振り回されて体内のバランスが乱れ、少しずつ疲労が積み重なり、この汗を掻いて体温調節をするという機能がうまく働かなくなり、今度は少し気温が下がっただけで強い冷えを感じたり、上がれば異常に暑さを感じたりする原因にもなり、身体をどんどん消耗させてしまいます。
頭痛、肩や首のコリ、血行不良、倦怠感、眠気、慢性的な疲労感を感じている人も少なくないはず。そしてそれはいずれも熱中症を起こす要因となります。
夏の真っ盛りよりも、この時期から梅雨の時期までが熱中症を最も起こしやすいのです。
まずは上手に汗をかける身体にすることが大切です。
汗を上手く掻けない人は、少し積極的に汗を掻いてあげましょう。
ウォーキングやバイクなどの有酸素運動を、やや汗ばむ程度の強さで20~30分。
倦怠感も汗と一緒に流れてさっぱりするはず。
運動はちょっと・・・という方は、37~38℃くらいのぬるめのお湯に10~20分くらい浸かると汗も出るので効果的です。
お風呂に入ってひと汗掻いてから寝ると、体温が下がる過程で入眠できるのでぐっすり眠れます。
ただし、逆に汗をたくさん掻く人は、逆効果ですからやらないこと。
毛穴が開きっぱなしで、水分を留めておく力がないので、汗がダダ漏れしてしまうのです。
ですからこの場合は熱めのおふろにさっと入って、出るときに顔や手足に水をかけましょう。肌がキュッと締まり毛穴が締まります。
そしてお腹を冷やさないこと。冷たいものを飲めば飲むほど汗がダダ漏れしてしまいます。
その上で、汗で消耗してしまった分、水分を補給してください
また汗をかいた後は、水分補給が必要です。
もともと人は、食事から摂取する水分以外に1日1.5~2ℓの水分が必要とされています。
お茶やジュースなどは、利尿作用があり、身体に吸収する前に尿として排出されてしまいますからお勧めできません。麦茶はミネラル分が豊富ですが、それと同じくらい利尿作用があり、原料の大麦は体をとても冷やすので、今の時期はまだ妥当ではありません。
ここで飲む必要があるのは、水もしくは白湯。
朝起きた時と寝る前だけは最低、 常温の水か白湯をゆっくり時間をかけて飲みましょう。
寝ている時は、汗は掻かなくても呼吸によって水分をかなり消耗していますから、
朝一番にコップいっぱいの白湯を飲むと、じんわり身体に染み渡ります。
お水なら常温で。
冷たい水は朝の身体には刺激が強いですからできるだけ常温以上のものを。
夏になる前に掻く汗は、ミネラル分の流失が多いのが特徴です。
ですから、バランスの良い食事をして、バランスよくミネラル分を摂取しましょう。
スポーツドリンクは、砂糖分が多く、実はミネラル分の吸収が良くありません。
水はどうしても飲みにくいという方は、経口補水液を用意するか、
お水500ccに砂糖大さじ2杯、塩ひとつまみ、そこにレモン汁か梅干しを少し加えると、
クエン酸の力で、より水分が吸収されます。
お出かけ中、炎天下の中だけでなく、うちにいても熱中症になることもあります。
頭痛や倦怠感、熱がこもるような暑さを感じる時は、熱中症予備軍です。
身体なんだかおかしいと思ったら、まず熱中症を疑って水分補給をしましょう。
そして1番大切なことは、睡眠をしっかり取ること。
睡眠不足は自律神経を乱す一番の要因です。
仕事が忙しくても、今日のうちに寝る努力をしましょう。
どうしてもできないなら、昨日よりも10分でいいですから早く寝る意識を持ちましょう。
また、猛暑の中でお出かけするときは、帽子や日傘を忘れずに。
それから保冷剤や冷たいペットボトルなどで頭の百会(ひゃくえ)というツボを冷やすと、
身体全体に篭った熱をさげてくれます。
よく首を冷やすと涼しくなると言われていますが、首を冷やすと首の筋が固まってしまうので、頭を冷やす方がおススメです。
暑さがピークを迎えるまであと3ヵ月ほど。今の時期に汗をかける体づくりをして、今年の猛暑を乗りきってください。
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