白湯の効能と飲み方〜秋に向けた身体を作るために


9月も半ばとなり、ようやく暑かった夏の終わりを感じます。
秋風の涼しさに、ホッとしている人も多いでしょう。
今年の晩夏は厳しくて、つい最近まで1日中、寝ている間もクーラーをつけていましたが、
今はもう朝晩はすっかりすずしくなって、肌寒いほどです。

でも、季節の変わり目とともにお腹が緩かったり、鼻水や咳風邪も流行っているようです。
季節外れのインフルエンザも出てきて、なんだかわからない感じですが、
ただでさえ夏の疲れが出ているところに、急激な季節の変化と夏の間のクーラー漬けで、
私達の身体は自分が思っている以上に冷えて、随分と免疫力が低下しているようです。

そこで、本格的に秋が始まるまでに、冷えを追い出して身体の代謝を高めるモノをご紹介したいと思います。

この時期の不調は、お腹バテで、お腹を温めることが大切だということは前回お話ししましたが、
お腹の温度(身体の深部体温)は通常の体温よりも少し高く、37.2℃前後が良いとされています。
その温度が1℃違うと、免疫力は30%、基礎代謝も1012%上下するそうです。
冷えを抑えるために飲まれている常温の水でも、20℃以上の差がありますから、
冷たいものをお腹に入れることが、どれだけお腹の負担になるかおわかりでしょう。

そこでいつもおススメしているのが「白湯」です。

白湯は、東洋医学の食養生ではとてもポピュラーなアイテムです。
特にアーユルヴェーダでは、身体を刺激するものを排除した「純粋な水」として身体を浄化するのに重用されています。

白湯とは、「温かいお湯」。
ここで言う白湯とは、熱湯ではなく5070℃くらいの「湯冷まし」のことです。
この温度が胃腸への負担が1番少なく、優しく身体に吸収され、
内臓を温めることで身体の巡りがよくなり、代謝を促進して免疫力を高めてくれます。

免疫力が上がれば、気圧や気温差、私たちの周りにある細菌やウイルスなどにふりまわされることなく、
健やかに過ごすことができるでしょう。
その他、身体の内臓の働きがよくなることで、お通じやお小水もスムーズになり、デトックス効果が高まりますから、
肌荒れやむくみ、便秘症、冷え性、排尿障害などの改善につながります。

白湯の作り方は簡単。お湯を沸かして、カップなどに入れて冷ますだけ。
舌が火傷しないくらいの温度(50〜70℃)まで冷ましたら、ゆっくり飲みましょう。

ところで、先日患者さんから「お湯にお水を足して作っていいですか?」と聞かれました。
忙しい日常、なるべく手軽に作ってさっと飲みたい気持ちもよくわかります。

身体に負担をかける刺激を完全に排除した「純粋な水」で、身体を清め癒すというアーユルヴェーダでは、
お湯に水を足すと言う行為は×なようですが、漢方、韓方(韓国医学)の考えでは少し違うようで、
お湯と水を混ぜたものを「陰陽湯」と言います。
これは、熱湯を半分入れた中に同量の水を混ぜたもので、薬としても使ういことがあります。

「陰陽」という文字の通り、陽気(温かい気)であるお湯の上に、陰気(冷たい気)である水を入れることにより、
温かいお湯は上昇し、冷たい水が下降して、陰(冷)と陽(温)の対流が起こります。
この「動いている」ぬるま湯を飲むと、停滞していた身体の巡りを巡らせて、バランスを調和してくれるそうです。

*急に暑くなったり寒くなったりする。
*冷たいものを飲み過ぎて、下痢を起こす。
*緊張やストレスで便秘がち。
*お小水が出にくい、身体がむくみがち。もしくは頻尿など水はけの不具合。
*急激な温度差で身体がびっくりして、アレルギー反応を起こしてる。

陰陽のバランスが崩れたり、自律神経の失調による身体の停滞、詰まりには、
この「陰陽湯」の方がいいような気がします。

「陰陽湯」の作り方は、カップの中に半量のお湯を注ぎ、その次に同量の水を注ぎます。
この時、注ぐ順番が重要で、必ずお湯の後に水を注ぐこと。
水の上にお湯を注ぐのは「逆さ水」と言って、亡くなった人を清めるために使う水です。
これは温度差による対流が起こらない「動かない水」ですから、縁起が悪いだけでなく、
身体の巡りを阻害してしまいますから、注ぐ順序には気をつけてください。

「陰陽湯」は、バランスの崩れにより停滞している身体を動かして、
そこに冷えや熱、身体に不必要なものが詰まっていれば、それを排出する作用があるので、
場合によっては、吐いたり下したりすることがあります。
それは身体のための必要悪ですから、心配することはありませんが、
疲労や虚弱による身体の不具合を感じている人にとっては、身体に負担をかけるかもしれません。
ですから、そう言う場合は「陰陽湯」よりもアーユルヴェーダ式の「湯冷まし」の白湯がいいと思います。

水の種類によって、作用も刺激もそれぞれ違います。
ただ、「水を飲む」だけでなく、どの水が良いか、自分の身体に聞きながらその時に合ったものを飲んで、
健やかな身体を作りましょう。


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