冬の風邪とその養生法



冷たい風に思わず身をすくませるような寒い日がまだまだ続きますが、
立春も過ぎて、暦の上では春になりました。
今年は暖冬だったこともあり、すでに満開の梅の花を見ると自然と心もほころびます。
陽気は、あいかわらず暖かったり寒かったりとアップダウンが続いていますが、
暦とともに、確実に季節は移り変わり始めています。

加えて、今はインフルエンザにウイルス性胃腸炎、
新型コロナウイルスなんてものも出てきて大騒ぎです。
テレビやインターネットなどでひっきりなしにいろんな報道がされていて、
溢れる情報に不安に感じている人も多いでしょう。
その中で正しい情報を見つけて、何が自分に必要か選択するのは本当に難しいです。
情報の波に呑まれて翻弄されず、自分の身体を守るための情報を探しましょう。

そもそも、「感染症」とは、どんなものなのでしょう?
私たちの周りには常に、細菌、ウイルス、真菌、寄生虫など、
目に見えない「生物」がいます。
「感染症」とは、それらが身体に侵入して、症状が出ることをいいます。

症状はまちまちですが、主に発熱する炎症、咳や鼻水などがでる呼吸器症状や
下痢嘔吐などの消化器症状です。
しかし、これらはどれも侵入した異物を追い出そうとする身体の防衛反応ですから、
むやみに抑えては病原体を追い出すことができません。

逆に症状は派手ではないけれどいつまでも体調が悪いのは、
身体に力が足りずうまくそれらを退治できていないのです。
ダラダラ薬を飲み続けたり、それを我慢して無理な活動を続けていると、
体力がどんどん消耗して、くすぶり続ける病原体に
いずれ負けてしまうことになりかねません。

症状によっては薬の助けを必要とする場合もあります。
そのとき気をつけたいのは、むやみに飲まず、原因がなんなのかちゃんと知ることです。
例えば、抗生剤は細菌には効きますが、ウイルスには効きません。
また中途半端に飲んだり、長期にのんだりすると、
耐性菌をつくりだしてしまうので、自分勝手な飲み方は厳禁です。
また、闇雲に解熱鎮痛剤を使うと、身体のバランスが崩れ、
胃腸も荒らすので余計に悪化することがあります。
特に、小さな子供は熱性けいれん起こす原因を作り出すので注意が必要です。

東洋医学では、病原体がなんであれ風邪の原因に身体が負けないようにしながら
上手に経過させることが大切とされています。
西洋薬でも漢方薬でも、
薬はあくまでも身体の消耗を防ぎ治癒力を助けるために使うべきで、
あくまでも身体が病気を治すのを助けるものです。
薬で症状が軽くなって身体が楽になったらと言って動き出すのではなく、
そのエネルギーを身体の中に残る病原菌を完全に退治することに使うように、
しっかり身体を休めることが一番大切です。

特にこの季節は「腎」という器官が、頻繁に動いていますが、
ここは身体の一番深いところにあり、寒さから身体を守り、
次の活動期(春)のためにエネルギーを貯めています。
今の時期の風邪は、この「腎」を傷つけやすく、長引きやすいのが特徴で
しっかり養生しないと、今年一年の活動にも関わります。

もちろん風邪にかかっていなくても、「腎」を養うことはとても大切なことです。
身体に冷えが入り込むと「腎」を傷つけるので、防寒はとても大切な予防法です。
足首、腰回りは「腎」に繋がる大切なツボが集まっているので温めてください。

そして生姜と蜂蜜(砂糖は冷やすので蜂蜜がよい。黒砂糖でも)で作った生姜湯や、
ネギと鶏肉の入ったスープなどを飲むのはいかがですか?
鶏肉は「肝肺腎を補い、脾胃を整え、風を除き、湿を逐い、気を益し、血を温む」
などと言われ、疲れた身体や病中病後の滋養にとても良いとされます。
またネギは消炎解熱作用と身体を温める作用の両方を持ち、
気血を巡らせるため風邪にとても良い食品です。
そこに身体を優しく滋養する大根や人参、芋類などの根菜を入れると
更に効果が上がります。

でも、まず病原体を身体に入れないようにすることが大切。
新型でも、従来のものであっても、することは同じです。
外から帰ってきたら手洗い、うがい、それと洗顔も。
そして肌は呼吸器ととても関係が深いので、保湿クリームなどで乾燥から守りましょう。
マスクは鼻や喉の乾燥から守るために、外出する時や寝るときにもするといいでしょう。
そして適度な運動と食事、そして睡眠。
それが身体を守る第一条件です。

みなさんが健やかに春を迎えることができますように。
 

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