秋は食養生で
そよそよと吹く風は心地よい涼しさと、どこからか甘いいい香りを運んで来て、
季節はすっかり秋になりました。
少し前までのあの暑さは何処へやら。
台風や秋雨前線のいたずらで、空の具合は相変わらず不安定な日もあるけれど、
おひさまが出ている日は、空もからりと晴れ上がり、心地よい風に吹かれると
緊張していた身体もなんだかホッとしますね。
「秋」の性質は「燥」だと言うことは前回お話ししました。
ですから、「乾燥」を嫌う「肺」に影響を及ぼし、咳や鼻の風邪を引きやすいので
注意が必要なこともお話ししましたね。
それとは別に、自然界には、四季を通して生活のサイクルがあって、
「秋」は作物の収穫時期であり、これから来る冬に備える時期であるのと同様に、
私たちにとっても1年の活動の総まとめの時期であり、活動期から休息期に変わるための「クールダウン」する期間です。
「クールダウン」とは、運動をした後の身体のほてりや緊張をほぐす「整理体操」のこと。ですから私たちはこの時期に夏の興奮や緊張を鎮めて体調を整え、次に来る「冬」ための備えをしなくてはなりません。
☆秋の身体
秋は実りの季節。野菜や果物は、甘みや旨みを纏い、お肉やお魚も脂がのって、
何を食べても美味しい季節です。
それと同様に私達の身体も厳しい冬に備えるために食欲が増進し、
身体に栄養を蓄えようとするシステムが働きます。
美味しいからといって食べすぎると、馬肥ゆる秋。
1年で一番太る時期でもありますから、気をつけてくださいね。
でも、今年の夏はとても厳しかったので、夏のダメージがお腹に残っている人がとても多いようです。秋になっても食欲が出なかったり、お通じの具合があまり良くないと言う訴えをよく聞きます。
気血=エネルギーを作り、全身に巡らせたり貯める機能は、「肺」と「脾」が担っているので、おなか=「脾」に支障があると、「肺」もうまく動かなくなります。
「肺」と「脾」はペアで動くことが多いので、この時期は特に一緒に養うことが必要です。
☆「肺」と「脾」を養うには
涼しくなったのはいいけれど、おなかは冷えるのがとても苦手です。
秋の風の心地よさに身を任せたいところですが、
おなかや足首は、腹巻、靴下やレッグウォーマーなどで冷やさないように防御しましょう。
また、冷たいものを食べたり飲んだりするのはもうやめて。
暖かい飲み物や食べ物で温めてあげましょう。
また、秋の夜長と言っても夜更かしは厳禁。
「秋」は、「鶏のように早く寝て、早く起きるのが良い」とされています。
昼間の時間に活動して、夜は早めに休んでメリハリのある生活をしましょう。
☆この時期の食事は
涼しさから肌寒さを感じるこの時期は、身体を温め、お腹を滋養する食材と、
肺を潤し養う食材を使った料理を食べるといいでしょう。
お腹を温め滋養する食材:
米、くるみ、ごま、栗、ナッツ類、はちみつ、白菜、きのこ類、鶏肉
肺を潤す食材:
山芋、ゆりね、レンコン、春菊、無花果、なし、みかん、りんご
邪気を払いからだを温める:
にんにく、ネギ、生姜、唐辛子、大根、鶏肉
気を補い免疫力を高める食材:
米、山芋、きのこ類、さつまいも、さば、かつお、鮭、たこ、鮪、牛肉
◆さばのキムチチゲ
さんまやさばは、この時期旬ですが、今回は缶詰を使います。
骨まで食べられて、出汁がとてもよく出ます。
えのきだけやきのこ類も煮込むと出汁がよく出ますし、どちらの食材も今一番欲しい免疫力を高めてくれます。ピリ辛のスープはからだを温め、肺を元気にしてくれますよ。
<材料>
さば缶(鮭缶、さんま缶でもよい)1缶
じゃがいも 大1
玉ねぎ 中1
えのき 1/2袋
長ネギ 1/4本
コチュジャン 大2(お好みで)
すりにんにく大1
水 600cc
<作り方>
① じゃがいもはざく切り、玉ねぎは薄切りに、えのきだけは石づきをとって半分に。
② 鍋に水を入れて火にかけ、沸騰したらじゃがいもを入れます。
③ 3分待ったあと、玉ねぎ、えのきだけ、コチュジャンを入れます。
④ さば缶を汁まで全部入れ、さらにすりにんにくを加えます。
⑤ 10分くらい煮ます。
(だし汁を使っていないので、ちょっと煮た方がだしが出て美味しくなります)
⑥ 最後に小口切りの長ネギを散らしたら出来上がりです。
辛味は秋の邪気を払い、肺の機能を盛り立てますが、たくさん摂りすぎると水分も払ってしまうので、この時期はピリ辛くらいの方がいいでしょう。
ちょっと肌寒かったり、風邪っぽい時にご飯と一緒に食べると元気が出ます。
◆栗ごはん
秋の味覚といえば栗ですが、剥きにくいのが難点。
でも、苦労した分だけ幸せな美味しさを味わえます。
栗と米は、お腹を温め、夏に消耗した気血を補ってくれる秋の養生食にはピッタリのメニューです。するりと剥ける方法もあるのでぜひ頑張って作ってみてください。
◉栗の簡単な剥き方
〈圧力鍋を使う場合〉
まずくりのとんがり部分に十字に切り込みを入れ、
栗とひたひたの水を入れて3〜5分圧力釜にかけます。
そうすると、栗の実と渋皮の間に空気が入ってするすると簡単に剥けます。
〈圧力鍋を使わない場合〉
まず一晩栗を冷凍させます。
冷凍させた栗をボールに入れて熱湯に5分浸し解凍する。
それから栗のお尻の方に包丁を入れると、手でくるりんと剥けます。
もし剥きにくかったら、もう一度熱湯の中に浸して、暖かいうちに剥いてください。
<材料>
むき栗 1袋
米 3合
昆布1枚
塩
醤油
<作り方>
①米を研いで、水は普通のご飯と同じ分量を入れます。
②①に昆布を入れ、塩を加えます。量は舐めてみて塩味を感じるくらいで。
③剥いた栗を入れて、醤油を小さじ1くらい香り付けに入れて炊飯器で炊きます。
>>>>>>>
健康に役立つ情報が満載!
とこ鍼灸院ホームページを日頃の健康維持にご活用ください。
コメント
コメントを投稿